【PR #奈良オーベルジュ 後篇】奥深き奈良・五條で、土産土法の美食を味わい尽くす旅


奈良オーベルジュを巡る旅、今回は奈良県五條市よりお届けする。

吉野川が流れ、豊かな自然に恵まれたこの場所は“日本一の柿の産地”としても有名。
私が訪問した10月末頃はちょうど柿の収穫時期で、山あいに足を延ばせば見事な柿畑に出合えるのだ。



見渡す限り柿、柿、柿!たわわに実った見事な柿が青空に映えること!
地元の人たちにとっては見慣れた日常の景色も、私には新鮮で感動的な光景。

実はこの柿畑、五條市西吉野町にある100年以上続く柿農家「堀内果実園」の柿畑。
柿は標高差が100~400メートルの傾斜地で栽培されている。
昼夜の寒暖差、水はけの良い起伏の大きい地形など、柿の生育に適した環境に恵まれた場所だ。



大台ヶ原を源流とし、奈良県南部を流れる大きな吉野川。
あの万葉集でも詠まれるなど、当時の人々にとっても特別な存在だったに違いない。

そして、この川沿いの直ぐ側にある新町通りに私が宿泊した「旅宿 やなせ屋」がある。
それでは宿の紹介を始めるとしよう。


五條・新町通りにある、一日一組限定の一棟貸し宿「旅宿 やなせ屋」


国道168号線の新町入り口から足を踏み入れると、重要伝統的建造物群保存地区である長い御堂筋の古い町並みが続いている。

この場所は新町通り(しんまちどおり)と呼ばれ、関ヶ原の合戦で功績を残した松倉重政が城下町として建設したそうだ。



「旅宿 やなせ屋」は、かつて裕福な医者が保持していたという建物を一棟貸ししている宿泊施設。

敷地内には、趣の異なる「蔵(KURA)」と「離れ(HANARE)」があり、一日一組限定で貸し出されている。



私が宿泊したのは向かって左手にある「蔵(KURA)」で、その名の通り蔵そのもの。

前日はならまちで米蔵に宿泊していて、続いても土蔵とは......。
“奈良、蔵の旅”というシリーズで語ってみても良いのでは? なんて思ってしまった(笑)



蔵を守る大切な鍵がこれまたユニーク。
写真からは想像出来ないくらいずっしりとした重みがあって、宿泊する部屋の専用鍵とは思えない。
(だって、元々は蔵の鍵ですもの)



重い扉を開けて中に入ってみると、モダンシックな色合いで統一され落ち着いた雰囲気。

リビングは天井の高さが3メートル以上もあるというから、この天井高は他のホテルの客室ではなかなか体験出来ないだろう。



大きめの冷蔵庫には無料の井戸水、さらには電子レンジ、電気ケトル、コーヒーメーカー、食器類など至れり尽くせり。
このような充実した設備が備わっている訳は、暮らすように過ごして欲しいとの思いがあるからだとか。

滞在日数が長くなっても、地元ならではの特産物などを「蔵」に持ち帰って食べられるとは、とても便利だと思う。



この「蔵」はメゾネットタイプとなっていて、二階もあるのが面白い。
バリアフリーの問題はあれど、若い人たちには、こういったユニークな宿にも積極的に泊まって欲しい。

さて、二階は一体どのようになっているのだろう?



大きな梁と三角天井の二階にはベッドルームがある。

最大二名用の客室となるので、二人で泊まればここに布団が二つ敷かれるのだろう。



「蔵」自体はとても古いのに、バスルームやトイレなどは現代的で綺麗。
このような歴史のある宿に幾つか泊まった経験もあるのだが、水回りが昔のままだと不便なことも多く、快適に利用出来るのは嬉しい。

但し、タオル類が薄いペラペラタイプだったのは少々勿体ないような......。
もう少し質の良い厚めのタオルだと最高だったかなぁと。



あえて一つだけ残念なポイントを挙げると、《防犯上の理由から窓は絶対に開けないで下さい》ということ。
私にとって部屋に自然光が入るのはマスト条件なので、昼でも暗がりの部屋(但し、照明はちゃんとあります)はちょっと寛げない。
というか、ずっと暗いままだと就寝中に朝が来たのかどうかも分からずで、実は少々疲れが取れなかった。

この点、全く気にならない方もいると思うので、気にされる方は窓から吉野川も眺められる「離れ(HANARE)」がおすすめだ。


地元野菜が主役、大和の恵みをふんだんに堪能出来る野菜尽くしの料理を頂く


築250年の町家を改装したレストラン「五條 源兵衛」は、「旅宿 やなせ屋」と同じ新町通りにある。

ここでは、店主、料理長である中谷曉人氏が、五條及び近隣の旬食材を用いて、“ただ美味しいだけでなく、今日と明日の体をつくるご飯”をコンセプトとした、野菜に主軸を置いた料理を振る舞ってくれるのだ。



素泊まりが基本である「旅宿 やなせ屋」だが、通りを挟んだ直ぐ近くにある「五條 源兵衛」が食事を提携しているのは有り難い。

日中のランチタイムは予約優先、夜の夕食に至っては完全予約制となるので、事前予約をおすすめする。



「前日に日本酒をいろいろ飲まれたと聞いているので、ノンアルコールのお飲み物も色々用意しています」
お気遣いに甘えて、せっかくならばと地元産の果物を使ったジュースをお願いした。

夕食のお品書きを特段頂いてはいないので先ずは全体の感想を伝えると、野菜本来の美味しさと素材を引き立てる極めて上品な味付け、丁寧な仕事ぶりを随所に感じ取ることが出来る。
大和の恵み、朝採れの五條の野菜をふんだんに取り入れたコース料理は、滋味豊かで厳かな味わいを愉しめる。



例えば、食前酢の後に出された《栗の渋皮煮》もシンプルを極めた料理の一つ。
見た目からして、ぷくっと大ぶりな栗に心が弾む。

栗本来の味や穏やかな甘みを十分に味わえて至極ご満悦......!
秋の味覚に感謝し思わず手を合わせて拝んでしまう。なんて気持ちにさせてくれる。



透き通るようなだし汁に浮かんだ、《フェンネルとパプリカのおもち》。

バラの花びらは見た目にアクセントを加えるだけでなく、エディブルフラワーとして食すことも出来て、ほのかな苦みを加えてくれる。



地元吉野エリアや蔵元の地酒を頂きながら、登場したのは《葡萄の藤稔、オクラ、ホワイトセロリ、マリーゴールド》。
オクラは珍しい品種のスターオブデイビッドで切り口がダビデの星のようで面白い。

藤稔の甘さとみずみずしい食感に、ホワイトセロリが弾けるかのようで、口の中でリズムが奏でられていく。
野菜と野菜のペアリングが見事で、こういった一品を日常では頂く機会はなかなかないので、記憶に残っている。



極めつけは、シンプルオブシンプルな《味間いも》。
奈良県の伝統野菜であるサトイモの在来種で、どうやら松下幸之助も好んでいたのだとか。

とにかくほくほくで甘い! 《朝どれの落花生》と交互で食べ進めても飽きが来ない。というより、もっと食べたくなる一皿。
ペンタスの花があしらいとして全体に彩りを添えてくれている。



メキシカンマリーゴルードがあしらわれた葛に浮かぶ《栗おこわ》は、先ずはそのままで味わって、残り半分ほどで無農薬ライムをシュッと吹きかける。
するとどうだろう、今まで食べていた味が魔法のように一瞬で変化。清涼感がすうっと通り過ぎていく。

コース仕立ての料理も後半にさしかかり、少々お腹も満たされつつあるタイミングで、心地よいパンチを受けたかのようだ。



今宵のコース料理を彩ってくれた野菜盛りの紹介とともに、揚げたてサクサクの《天ぷら》が登場する。
バターナッツかぼちゃ、四角豆、ひもとうがらし、紫とうがらし、そして蒟蒻。

この中でも、煮物にした蒟蒻を揚げた天ぷらはリピーターからもリクエストが多いそう。
確かに、食感と風味がくせになる美味しさ......! 食べたことがあるようで無い、特別な天ぷらにに間違いない。


最初から最後まで、店内では軽快なクラシックピアノの曲がずっと流れていた。
まるで音楽に合わせるかのように、次々とリズミカルに料理が登場し、食事はフィナーレを迎えた。



今回は野菜や果物メインのフルコースだったが、地元のジビエ料理も食べてみたかった!(ちょっぴり悔いが残る)
「またいつか......。」そんな希望を抱きながら、灯がともる夜の新町通りを散歩するのも、なかなか楽しい。




翌朝の朝食は「旅宿 やなせ屋」の客室で頂く形式で、指定の時間になると「五條 源兵衛」から運ばれてくる。

《炊き立ての茶粥》は、山深い農耕文化の背景を大切にしたいという気持ちを大事に作られている。



かつての農家たちは、朝に茶粥を炊いては、昼食は弁当として野良で食べて、夜になると白米の上にかけて食べていたとのこと。
番茶で炊いた茶粥と一緒に頂くのは、金山寺味噌、高菜の古漬け、桃と瓜の奈良漬け。
これらの塩分こそが、畑などで農作業をしていた先人たちにも必要不可欠だったようだ。

さりげない重箱も地域から受け継いだ特別なもの。
かつて相撲の巡業があった時、ハレの日に使っていた貴重というから、とても興味深い。
この重箱に限らず、昨夜から珍しい器や漆をいろいろ愛でていたことから、“愛しいうつわの世界”にも引き込まれてしまった。


奈良五條 新町通り 一棟貸しの宿|旅宿 やなせ屋

住所: 〒637-0041 奈良県五條市本町2丁目7-3
TEL:0747-25-5800
アクセス:JR和歌山線「五条駅」より徒歩15分、JR和歌山線「大和二見駅」より徒歩15分、京奈和自動車道「五條IC」車で5分
WebSite:http://yanaseya.info/




店主によるツイッター発信から知ったお店、「大野屋 町家カフェゆるり」


最後に、「旅宿 やなせ屋」へ宿泊した際に徒歩数分で訪れることの出来るお店を二つ続けて紹介しよう。

先ずは歴史新町通りにある「大野屋」。
正面に格子があり、“厨子(つし)2階”の正面窓には縦格子を漆喰で塗り込めた木瓜形と四角方の虫籠窓が印象的な町家だ。

“厨子2階”が聞き慣れない方も多いはずなので簡単に説明すると、
江戸時代頃は町家のほとんどが平屋であったことの一つに、「武士を見下ろさないように」という禁制があった。

実際は物置や使用人の居住にあてがわれるような、ほぼ屋根裏部屋に近いような空間であって、二階があるのを分からないようにしていたとも言われている。



店内では期間限定の展示やイベントが行われるスペースとカフェレストランが併設されている。
ここでは11月半ば頃までの期間限定で、西吉野産の柿を贅沢に使用した柿スムージーを頂ける。

柿本来の自然の甘みだけを活かした何とも贅沢なドリンクは、スムージーに一個、トッピングにも一個と合計二個の柿を使用している。
こんなにも柿がゴロゴロで一杯600円で頂けるなんて。近所にあったら毎日飲みたいくらい!

10月半ば頃に、TBSの番組「マツコの知らない世界」で五條市の刀根早生柿の食べ比べが放送されていたが、マツコさんが召し上がっていた柿こそが、まさにこの刀根早生柿なのである。



ちなみに、女優の尾野真千子さんは吉野郡西吉野村(現・五條市)出身であるのだとか。
以前、彼女もこちらに訪れたようなので、ファンや観光客にとっても見逃せないスポットの一つだ。



あなたは何派?奈良に来たら「柿の葉すし」は、たなかでも食して欲しい!


「旅宿 やなせ屋」から徒歩三分に位置している「柿の葉すし本舗 たなか 五條本店」も、この地を訪れたら欠かせないお店。

奈良の名物と言えば、言わずもがな“柿の葉すし”を思い出す方も多いはず。
柿の産地で柿の葉自体も身近な存在だったことが、柿の葉すし誕生のきっかけとなるのだが、この五條市こそがルーツでもあるのだ。



奈良にゆかりのある友人に聞いたところ、奈良には柿の葉すしの有名な会社がいくつかあることから「我が家は○○派」なんて言うのもあるらしい。

「柿の葉すしにも派閥が!?」
東京に住んでいるとあまりピンと来ない話だが、有名な老舗店の好みが各家庭によって分かれること自体は、私にも理解が出来る。



店内には柿の葉すし以外にも関連するお土産を幾つも扱っていて、基本は売店として営業している。
但し、ちょっとしたイートインスペースも設けられているので、購入した柿の葉すしをその場で食べることも可能。

柿の葉で包まれている柿の葉すしは一つずつ分けられていることから、取り分けもしやすく小腹が減った時でも気軽に食べられる。

もちろん過去に何度か食べてはいるが、寿司飯がふっくらしていて今まで食したものよりも断然美味しく感じたのは何故だろう!
食事を同席した奈良在住の方とも「柿の葉自体にも厚みがあって、とてもしっとりしている!」と盛り上がったほどだ。



さば、さけ、たいを包んだ昔ながらの柿の葉すしもあれば、海の幸と山の恵みを彩りも美しく詰めた「五条楽」という店舗限定商品も扱っている。
そして季節限定の「紅葉の柿の葉すし」は、紅葉した柿の葉をカラフルに並べた目にも美味しい逸品で一度は購入してみたいと思っている。



五條市の滞在を振り返って、最後に


そういえば、冒頭にも紹介した「堀内果実園」で代表取締役の堀内俊孝さんと柿にまつわるいろんな話のなかでこんなことを教えて貰った。

「柿の葉すしに使われる葉っぱは、果実として食べる柿とは別の葉っぱだけを収穫する柿の木から収穫するんですよ。大手老舗の柿の葉すしには国産の柿の葉が使われているが、今は輸入物が入ってくるようにもなっていますね」

なるほど、そうだったのか!
他にも初めて聞く、“私の知らない柿の世界”話が盛りだくさんで、現地の人と触れ合いながらいろんな話を聞けるのは本当に楽しいと改めて実感した。



「堀内果実園」のことは、都内でも多く展開している「中川政七商店」の店頭で柿の葉茶やドライフルーツを手に取ったこともあって、私にとって身近な存在ではあったが、今回の取材旅がご縁で、当日急遽ご案内頂けたことにとても感謝している。

現地を訪れて新たな発見や知識が増えるのも旅の醍醐味。
次の記事は近々改めてまとめる予定だが、インスタグラムなどのSNSで紹介した私のおすすめスポットなどを紹介していこう。


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※本記事は、Agile Media Network 経由で依頼された記事広告です。



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